初心者期間を脱して車の運転にも慣れ、気軽にどこへでも行けるようになりましたでしょうか? ここで気をつけていただきたいのは、この時期が一番事故が多いということです。初心者のうちは緊張し、運転に集中していましたが、慣れたことによる油断から、思わぬ大事故に繋がることもあります。
中級編では、いかに安全に、スムーズに運転できるように、どういったことに注意するか書いていきます。
それぞれの記事へのリンクです。
- 運転技術上達への道 ~準備編~
- 運転技術上達への道 ~初級編~
- 運転技術上達への道 ~中級編~ (今回)
- 運転技術上達への道 ~上級編~
運転中の視点・視線・視野
皆さん、運転中はどこを見ていますか? ・・・という問いに「前」と即答してしまった方、ちょっと惜しいです。 運転が上手な人ほど、この問いかけには即答できないんです。視点はめまぐるしく動き、視線は前に向けていますが、意識は視野いっぱいに広げています。
なので、前を向いてはいるけれど、見ているかと言われると、前を注視しているわけでもない。視野全体をおぼろげに見ている・・・そういう感覚なんですね。
具体的には
前方は前の車の更に1台前の車を意識し、ルームミラーとサイドミラーは視野の片隅に見えるようにして、10秒~20秒おきにチラチラとミラーを確認するようにします。
こうすることで、2台前の車の動きから、流れが減速するのか加速するのか判断でき、無駄なブレーキを踏まずに済みますし、路肩を走行する二輪車の存在にも早めに気付くことができます。後続車はまずはすぐ後ろの1台だけ把握できていればOKですが、余裕があればその後ろまで確認しておきましょう。
片側2車線以上の道路の場合、左右の斜め後方が死角となりやすいです。ミラーチェックは欠かさずに、車線変更する際には、必ず直前で目視しましょう。
譲り合い
右折車線のない交差点やT字路で、対向車が右折待ちをしているシーンを思い浮かべてください。貴方が直進路を走行していたとして、貴方ならどうしますか?
無条件でパッシング(一般的には、対向車に合図して譲る意思を示すのに用いられているようです)して譲りますか? ・・・正解!と言いたいところですが、これも周囲の状況によって対応が異なる場合があります。
自分の後ろに車列ができている場合、自分が譲らなければ、後ろの誰かが譲ってくれるまで、対向車は右折できません。しかし、自分の後ろに全く車がいない場合はどうでしょうか? 対向車は自分の車が通り過ぎてから右折しようとしているはずです。その時、道を譲られても、譲られた側からすると、「さっさと通過してくれれば、すぐに右折できたのに」とモヤモヤな感じになるかもしれません。
更に譲った側の車が死角になって、脇をすり抜けてくる二輪車が見えない場合もあります。譲るという気持ちは大事ですが、時と場合によることを認識し、瞬時に判断することが大切です。
スムーズな運転を心がける
スムーズな運転、と一言で言っても、どんな運転がスムーズなのか、イメージできないかもしれません。「急」がつく操作をしない・・・というだけではまだ不十分です。
人間は、G(加速度)の変化に敏感
加速の時、シートに押し付けられる感覚や、減速の時、前のめりになったり、カーブの時に左右に身体が揺られたり、こういったGの変化に人間は敏感です。そして不快に感じることが多いです。特に前後のG(加速G、減速G)は車酔いの原因にもなります。
とはいえ、車は加速も減速も頻繁に繰り返す乗り物です。どうすればこの不快なGを和らげることができるでしょうか?
オンオフではなくシームレスに
最近のAT車、特にエコモードのようなモノが付いている車では、ドライバーの雑なアクセル操作を、電子制御である程度、緩和してくれますが、それでもアクセルを踏む・離す、というような「オンオフ運転」では不快な前後Gが何度も感じられてしまいます。
でも、アクセル操作しないと進まないし停まりませんよね。ではどうするか? 「変化させ続ければ」いいのです。
人間はどんなに小さなGの変化でも、変化した瞬間を感じてしまうのです。その瞬間こそが不快感のもとなるものです。なので、減速するのであれば、アクセルを弱めてから停止するまで、継ぎ目のない=シームレスな操作にすれば、不快感を感じる回数が減り、スムーズな運転ができるようになります。
アクセルをジワリと緩めはじめ、完全に離すまで、連続的に弱め、エンジンブレーキに移行します。エンジンブレーキで十分減速したあと、フットブレーキを踏みますが、足を乗せる程度の弱めのブレーキからジワリと踏む力を強め、ある程度のところで踏む力を一定に保ちます。停まる直前にジワリとブレーキを戻し、弱めに踏んだまま停止できれば完璧です。
発進する時も、一気にブレーキを離すのではなく、ジワリと離すことで、クリープに移る際の「カックン」を防止できます。
Gの変化点を連続的にする=カドをたてないように心がければ、乗り心地の良い、スムーズな運転になるでしょう。
中級編まとめ
運転に慣れて、不自由なく運転できるようになると、油断からくる事故も多くなります。車を運転する怖さを忘れてはいけません。
周囲の状況を常に把握し、素早く、的確な判断ができるようにしましょう。
継ぎ目のない加減速ができるようになると、同乗者も快適に過ごすことができます。しかし、スムーズな運転の習得には、加減速を感じる力と、繊細な操作を「意識して練習」することが大切です。
それでは、良きカーライフを。