アライメント調整は本当に必要? 売り文句に踊らされないために

      2016/05/29

工具

タイヤ専門店などのコマーシャルでたまに「アライメント調整」を薦めているのを見た事はないでしょうか? 「車の骨格矯正」とか「タイヤを長持ちさせるために!」とか。少し調べると、なんとなく重要そう・・・と思ってしまいますよね。

ここでは、アライメント調整の重要性と必要性について考えていこうと思います。

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アライメントとは

アライメントと聞いてもパッとしない方も多いでしょう。自動車でいうアライメントとは、主に「ホイール・アライメント」を指します。

ホイールアライメント(Wheel Alignment、正しい読みは「ホイール・アラインメント」)は、自動車のホイールの整列具合のこと。サスペンションやステアリングのシステムを構成するそれぞれの部品が、どのような角度関係で自動車に取り付けられているかを示すものである。キャスター角・キャンバー角・キングピン傾角・トーイン&トーアウトの4つの要素からなる。

wikipedia:ホイール・アライメントより引用

アライメント(Alignment)は、動詞「align(整列する)」の名詞形ですね。整列とか位置合わせといった意味です。簡単に言えば、タイヤがどのように自動車に取り付いているか?ということです。

部品の組み合わせにはバラツキがある

どんなに小さな部品でも、製造段階でそれぞれ寸法(大きさ)にバラツキがあります。そのバラツキの範囲を指定(規定)するのが「公差」と呼ばれるものです。どんなに精度が良い部品でも、必ずバラツキは発生します。全く同じ寸法の部品なんて無いと言ってもいいほどです。

部品単体でバラツキがありますから、それらを組み合わせるともっと大きなバラツキになります。機械部品で構成される製品には、あらかじめバラツキを吸収できるように設計されています。設計上、どんなにばらついても組み立てができるようになっているのです。

更に、組み上がった製品が正常に機能するように、「調整」できる余地を残して設計されています。自動車で例えれば、

  • 正常に機能=真っ直ぐ走る
  • 調整の余地=アライメント調整(設定)

となります。

アライメントの要素

細かく見ていくと多数の要素が複雑に絡み合っていますが、ここでは「調整」という観点で、大きく3つをご紹介します。

  • トー
  • キャンバー
  • キャスター

トー(トゥ)

自動車を上から見たとき、タイヤが向いている方向を角度で表します。トーとはつま先のことで、内側に向いていればトーイン、外側に向いていればトーアウトといいます。

車は基本的にタイヤの向いている方向に進みますから、トーの調整は非常に重要です。

キャンバー角

自動車を正面(または真後ろ)から見たとき、タイヤの傾きを角度で表します。「ハ」の字であればネガティブキャンバー、逆に「V」の字であればポジティブキャンバーといいます。

タイヤ単体をイメージしていただくと分かりやすいですが、車は基本的にタイヤが傾いているほうに曲がろうとします。タイヤ単体を斜めにして転がしてみるとわかりますね。

キャスター角

自動車を真横から見たとき、操舵輪(殆どは前輪)の中心を通る垂直線と操舵の回転軸(キングピン軸)との角度。なにやらわかりにくいですね。自転車のハンドルの中心から、前輪の中心に伸びる棒(ハンドルを回すとクルクル回る部分)をイメージしていただくと分かりやすいでしょうか。

このキャスター角が大きいほど、直進安定性が増します。また、カーブを曲がるとき、ハンドルから手を離し、アクセルを踏み込むと、ハンドルがスルスルと元の位置に戻ろうとします。これもキャスター角がついているためです。

ここでは、タイヤが向いている方向に進む。タイヤが傾いている方向に進む。これだけがイメージできれば大丈夫です。

アライメント調整(設定)の重要性

前項で簡単にアライメントの要素を説明しました。四輪全てが真っ直ぐ正確についていればいいんでしょ? そうお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし実際にはそう簡単にはいきません。

車は運転者以外にも乗客がいるかもしれませんし、直進路を一定速で走っているわけでもありません。交差点も曲がりますし、減速して停止もします。多量の荷物を積めば、キャンバー角が変化しますし、直進路でさえ、路面の抵抗でトーがアウト側に変化します。

キャンバー角やトーの変化は車の進行方向に影響を与えますから、それを打ち消しあうようにアライメントを設定してあげる必要があります。

殆どの車両は、トーインに設定されていますし、大人数が乗ることが想定されるミニバンなどは、ポジティブキャンバーがつけられていたりします。

また、縁石などに足周りを激しく当ててしまった場合には、アライメントが狂う場合もあります。そうなると直進していても真っ直ぐに走らなかったり、ハンドルがとられたり、タイヤが偏磨耗することもあります。

車の操縦性を一変させる

車の快適性を左右する、一番の要因はタイヤです。路上に落ちている小さな石を踏んだだけで車内に振動が伝わります。操縦性に関しても、わだちにタイヤを落とすと、すぐにハンドルに伝わるでしょう。タイヤは快適性においても、操縦性においても、最も重要な部品の一つです。

アライメントがほんの少し狂っていただけで、車の操縦性はガラリと変わってしまいます。しかし、事故などを除いて、アライメントはジワリジワリと狂っていくため、なかなか気付くことができません。運転者がその操縦性に慣れてしまうからです。

スポーツカーなどの、アライメント調整箇所が多い車の場合、適切に調整するだけではなく、どういう操縦性にしたいのか、といったところまでセッティングできてしまうのが、アライメント調整(設定)です。

タイヤの寿命にも影響が

タイヤの向きが極端に違うと、車は真っ直ぐに走りません。ですが、アライメント調整で各々のタイヤの転がる方向を打ち消しあうことで、車は直進できるようになります。ですが、ここで注意していただきたいのは、たとえ真っ直ぐに走っていても、アライメントは必ずしも適切ではない、ということです。

極端な例では、後輪は右側へ、前輪は左側へ転がろうとしている状態だとします。こういった場合でも、前輪、後輪が互いに転がり方向を打ち消しあって、正常に直進できてしまうのです。

トーが極端にイン(またはアウト)になっていても、左右のタイヤがそれぞれの転がり方向を打ち消しあって、車は直進します。

このような状態だと、タイヤは常に引き摺られているので、偏磨耗や寿命に大きく影響しますし、走行抵抗が増大し、燃費にも悪影響を及ぼします。車が真っ直ぐ走ってさえいれば、なかなか気付くことは難しく、気付いたときにはタイヤの寿命を迎えているかもしれません。

ではアライメント調整はしたほうがいい?

このように、アライメントは車にとって非常に重要な要素です。ここまで読んで、「じゃあやってみようかな」とお考えの方も多いかと思います。しかし、ちょっと待ってください。ご自分の車がどういった調整ができるのかを把握していないと、無駄なお金を支払うことになるかもしれません。

大半の車はフロントのトーのみ

普及帯の自動車の多くが、アフターパーツを取り付けたりしない限り、フロントのトーしか調整できないようになっています。多くの箇所を調整できるのは、ダブルウィッシュボーンやマルチリンクといったサスペンション形式を採用した車のみです。

トーの調整のためだけに、高価な四輪トータルアライメントを行うのは無駄になるかもしれません。

ランニングコストとして考えてみる

店舗によってマチマチですが、測定だけで万単位、調整1箇所につき3000円前後という費用がかかります。コンパクトカーですとタイヤ4本分と同額程度でしょうか?タイヤの磨耗が気になるのに、タイヤと同じくらいの費用を出してしまっては、あまり意味がありません。

それに、フロントのトーの調整であれば、車検に通すために必ずサイドスリップテストを行います。要は真っ直ぐ走るかどうかを見るものです。これはディーラーで3000円も支払えばやってもらえます。

タイヤが1本4万円以上するような車でない限りは、サイドスリップテスターで十分といえるのではないでしょうか。

本当に信頼できるのか?

アライメントの調整は、メーカーの規定値に合わせれば良いという簡単なものではありません。前述した通り、自動車一台一台、部品の組み付け具合が違います。規定値に合わせればある程度は改善するでしょうが、その車に合った設定をしてあげることが一番いいのです。

そのためには作業者の経験や力量が重要です。調整しました、ハイ終わり!ではなく、測定結果をしっかり開示して、現状の状態と、どのように改善したいのか?を親身になって相談に乗ってくれるお店を探すことが大事になってきます。

場合によっては何度も試走しては調整、の繰り返しになることもあります。だから高価なのです。最新の設備を使っているから高価なのではありません。その辺を見極めて、多少高くても信頼できるところに任せたいですね。

まとめ

いかがでしたか? アライメントは重要な要素ですが、その本質を理解していなければ、セールストークに踊らされて、無駄な出費をすることになるかもしれません。ご自身の車がどういった調整が可能なのかを知り、ランニングコストも考慮して、必要に応じて信頼できるお店にお願いすることが重要です。

それでは、良きカーライフを。

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