アクセル・ブレーキ踏み間違い事故は何故起こるのか?原因と対策

      2017/08/19

救急車

ニュースなどでよく報じられる、「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故。毎日車を運転している方にとっては、にわかには信じられない事故でしょう。車が必須と言われている我が県でも、先日は1日に2件もの踏み間違い事故が発生しました。

何故、乗り慣れた車であっても踏み間違うのか? 今回は踏み間違い事故は何故起きるのか?対策はあるのか?について考えたいと思います。

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「ブレーキを踏んだのに車が動いた!」

アクセルとブレーキの踏み間違い事故を起こした当事者は、素直に踏み間違えたことを認める=認識しているケースと、ブレーキを踏んだのに勝手に車が動いた!=誤認しているケースがあるようです。

ブレーキを踏んで車が走りだすことは100%あり得ないので、結局は運転者の踏み間違いとして処理されるでしょう。

どちらのケースでも、問題は乗り慣れている車なのに、踏み間違えた・・・というところです。アクセルとブレーキの位置は、目視しなくても体が覚えているはずです。

それに、ブレーキはアクセルよりも手前(運転者に近い)にあるのが普通です。ブレーキを踏み込んだときのペダル高さが、アクセルを踏んでいないときのペダル高さと同じくらいになるように設計されています。

原因1:運転者の意識

通常の運転姿勢をとっていれば、アクセルとブレーキの位置は、イチイチ目視しなくてもわかっているはずです。

コンビニの駐車場に入り、停車する。何も難しいことはありません。信号で停止するのと同じなのですから、これができなければ、車を運転してはいけません。

ではどうして、停まろうとしていたのに、コンビニに突っ込むのでしょうか? まずはコンビニの駐車場に駐車する場合を例に、状況を見ていきましょう。

駐車時(前進駐車)

駐車場に入り、空いているスペースに前進のまま駐車します。停まろうとしているわけですから、当然、右足はアクセルから離してクリープで進んでいる、或いはブレーキに足を乗せていると考えられます。

ブレーキに足を乗せている場合は、踏み間違えることはまずないでしょう。クリープで進んでいる場合も、ブレーキをかける準備に移るので、基本的に踏み間違えることは少ないと考えられますが、右足の位置が定かではないので、間違える可能性はないとは言い切れません。

このとき、後部座席や助手席にある財布などを取ろうとしたり、同乗者と何らかの会話をするために身体を捻ったりしたとき、右足の位置が定まらず、且つ、運転者の意識が「車を停めること」から他のことに移ると、踏み間違いを起こしてしまう可能性があります。

ブレーキだと思っていたペダルを踏んだとき、意図しない動き(ここでは止まらずに動き出す)をすると、一瞬パニックに陥り、更にペダルを踏み込むことになります。

結果として、アクセル全開のまま、店舗に突っ込むという、一見あり得ない事故を引き起こしてしまうのです。

駐車時(後退駐車)

バックで駐車する場合はどうでしょうか? 人それぞれ、バック駐車の仕方は異なると思いますが、身体を捻って後方を目視する方の場合、右足の位置が定まりません。

基本的には、バックでもクリープを利用しつつ、常にブレーキに足を乗せたまま、ゆっくりとバックしますので、踏み間違えることはそうそうありません。

しかし、アクセルを踏み足したり、ブレーキをかけたり、といった、いわゆる「オンオフ運転」の場合、右足は全く定まらず、後方に注意が向いていますので、間違える可能性は高まります。

発進時(バックで発進)

前進駐車をした場合、必然的に発進はバックとなります。この場合はアクセルとブレーキに加え、セレクターレバーの操作もあります。Rレンジに入れば警告音が鳴る車も多いですが、そうでない場合はミスをする手順が多い分、危険性は高まります。

セレクターの並びは、「P→R→N→D→・・・」となっていますから、間違うことは少ないでしょう。R(バック)にはボタンを押さないと入らないようになっていますが、それ以降はボタン不要で入ってしまいます。

散漫な意識だと、Rに入れたつもりがDになっていた・・・といったことが起こるかもしれません。

殆どの場合は、車を発進させるという目的をもって行動に移りますから、操作を誤ることは少ないかと思いますが、前述した通り、操作の過程において、気を散らす出来事が起こった際に、間違いが起こる可能性は高まります。

発進時(前進で発進)

バックで駐車した場合は、そのまま前進で発進できます。なんにも難しいことはないと思いますが、落とし穴が全くないわけではありません。

AT車(オートマ車)の場合、多くは、P(パーキング)の次にR(リバース)があり、N(ニュートラル)を挟んでD(ドライブ)という並びになっています。

Dに入れる際には、必ずRを通り越しますので、不注意でRのまま発進ということも起こり得ます。普通に発進する分には起こりませんが、携帯電話が鳴った・子供が泣き出した、などといった、不意な出来事が起こったときと重なると、間違いが起きる可能性があります。

複数の出来事に対応できない

このように、人間は様々な出来事を同時に処理できません。気を逸らすと他のことがどういう状況だったのか、判断できなくなってしまいます。

踏み間違い事故の原因の一つは、運転者の意識にありそうです。

原因2:車の構造

ご存知の通り、大半の車はアクセルとブレーキを右足で操作します。止るためのブレーキと、動かすためのアクセル、真逆の機能をもつペダルを、近くに隣り合うように配置し、同じ足で同じ「踏む」という動作で操作します。

命を奪う可能性のある製品にしては、あり得ない設計です。とはいえ、昔はMT(マニュアル車)だったことを考えると、3つのペダルを2本の足で操作するしかなく、AT車が主流になった現在でも、その操作性を大きく変えることは困難です。

MT車でも踏み間違いは起こる?

残念ながら、人はミスをする生き物です。MTであろうと踏み間違いは起こり得ます。しかし、踏み間違い事故は100%起こらないと断言してもいいでしょう。

MT車を動かすにはクラッチ操作が必要です。このクラッチ操作には、大きく2つの効果があります。

一つは物理的なインターロックとして。

インターロックとは

ある操作を行う時、誤操作や確認不足により、適正な手順以外の手順による操作が行われるのを防止したり、正常な製造・運転の行われる条件を逸脱した時、自動的に当該設備に対する原材料等の供給を遮断するなど製造や機器の運転を制御するものである。

wikipedia:インターロックより引用

クラッチ操作は、多少雑な操作をしても、許容してくれますが、ペダルの踏み間違い事故に繋がるような操作をした場合、エンジンはストールして、車は動いてくれません。

二つ目は運転者への意思確認の効果です。

AT車と比べると、車を発進させるためには、多くの無駄と思われる手順があります。しかし、これは単なる無駄な手順ではなく、運転者に「車を動かすこと」の意思を確認しています。

クラッチを踏み、シフト操作で進行方向の意思確認をさせ、クラッチを繋ぐ。全ての工程において、車を動かしてもいいのか?を運転者に問いかけています。

勝手に動き出すAT車とは、根本的に違うのです。

対策はあるのか?

それでは、踏み間違い事故を防止する対策はあるのでしょうか?

踏み間違い衝突防止アシスト(日産)

日産は画像解析技術と超音波ソナーによる、踏み間違い防止機能を開発しました。前方の障害物などを検知して、誤操作による事故を防ぎます。

また、渋滞時に脇見などによる追突を回避したり、駐車場の白線枠を検知して、障害物がない場所での踏み間違い事故を防止するようです。

一見、素晴らしい技術のように思えますが、これでは根本的な対策にはなっていません。前述した「インターロック」には、大きく分けて、ハードウェアインターロックとソフトウェアインターロックの2種類があります。

この技術はソフトウェアインターロックに分類されるかと思います。恐らくですが、このシステムにエラーが生じたとしても、車自体が停止することはないでしょう。なぜなら、今までの車には搭載されていなくても、問題なく走行できているからです。

※車両の状態、天候、道路状況、障害物の種類や形状など、条件によっては作動しない、または性能が十分に発揮できない場合があります。

と逃げ道としての注意書きをするくらいなら、もっと完璧なものを作るか、システムが動作していない時は車を動かさない(動かせない)ようにすべきです。

このシステムによって、運転者の意識(安全意識)は確実に低下するでしょうから、更なる安全技術を開発するか、もしくは完全に取り払うか、どちらかでしょう。

MT車に乗る

AT(オートマ車)の普及率が9割を超える日本において、全てをMT車にすることはもはや不可能ですが、前述した通り、MT車ならほぼ確実と言っていいほど、踏み間違い事故は起こりません。

物理的な(ハードウェア)インターロックと、運転者の意識と意思確認により、こと踏み間違い事故に限れば、3ペダル式のMT車が一番確実でしょう。

結局は運転者の(意識の)問題

人類の歴史上、技術の進歩は、「いかにして楽をするか」に集約されます。楽をするために車を使い、コンピュータを使い、技術を磨いてきました。

技術の進歩によって低下してきた運転者の安全意識を、また技術でカバーする。この繰り返しにより、車の本質「危険性」を認識しているドライバーは、確実に減ってきています。

AT車の普及により、踏み間違い事故が増えてきたように、新たな技術が普及すれば、また違った事故が増えてくることでしょう。

運転者が、「車を扱うこと」の本質をしっかり意識しない限り、残念ながら踏み間違い事故や他の新たな事故がなくなることはないのです。

参考:クルマは凶器か?テクノロジーの進歩により忘れ去られるモノ

参考:自動車のフェイルセーフ・フールプルーフは何かが違う?

 

追記:理解しがたいのは変わりませんが、自分なりに再度考えてみました。こちらもどうぞ。

参考:運転のルーティン化?アクセル・ブレーキ踏み間違い事故を再考察する

追記2:多くのコメントをいただき、ありがとうございます。かなり長くなってきましたので、簡単ですがまとめさせていただきました。下記リンクからどうぞ。

関連:アクセルとブレーキを踏み間違わなくても暴走する?自動車の危険性を再認識しよう

それでは、良きカーライフを。

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