かつて「マツダ地獄」とまで言われていた、マツダの快進撃が止まりません。その原動力が真面目な車作りとクリーンディーゼル。
このディーゼルエンジンを搭載した、新型デミオを、私は全力でお勧めします!
もはやコンパクトカーに敵無し
デミオはコンパクトカーに分類されるかと思います。車購入の際、競合する車種としては、アクア、ヴィッツ(トヨタ)、ノート(日産)、フィット(ホンダ)辺りでしょうか。車格と価格帯的にも似通ったところが多いですね。
私がRX-8の車検のときに、代車を出してもらったのがデミオでした。当時、まだ発売されたばかりで、ドキドキしながら乗ったのを覚えています。
私の車歴はRX-7(FC)、RX-8だけですが、妻のパッソ(Racy)と父のアクア、これらの車と比較して、こと街中を走る程度であれば、断然デミオがお勧めだという結論に達しました。
十分すぎるトルク
まず、なんといってもコンパクトカー離れしたトルクが魅力的です。ちょっと比較してみましょうか。
ちなみにトルクとは簡単に言うと、タイヤを回そうとする力強さです。
- RX-8:22.0kgf・m(5500rpm)
- アクア:11.3kgf・m(3600~4400rpm)
- パッソRacy:9.6kgf・m(3600rpm)
- デミオ6MT:22.4kgf・m(1400~3200rpm)
なんと、RX-8よりも上です! 6速のATになると、25.5kgf・mもあります。ディーゼルエンジンということもありますが、これはちょっとしたスポーツカー並みです。
さらに、この最大トルクが、1400rpmという低回転域から発生します。信号でのストップ&ゴーが多い市街地で、この上なくキビキビ走ることでしょう。
サスペンションの完成度
マツダのサスペンション設計は、昔から秀逸です。ロードスターやRX-8などの、ダブルウィッシュボーン&マルチリンク式といった高価なサスペンションではありませんが、「ドライバーの意のままに操れること」が設計の根幹にあるので、ステアリングを切ったとき、思った通りの素直な挙動を示してくれます。
また、ドライビングポジションの調整箇所も多く、様々な体型の人に合った調整が可能で、正しい運転姿勢がとれるので、長距離でも疲れにくいです。
インテリア・エクステリア
私自信、レザーが好みというわけではありませんし、プラスチックの内装がチープとも思いません。現在ではプラスチックの成型技術も進歩してきて、安く優れた材料なら、随所に盛り込むべきだと思います。
それを踏まえて、いろんなところで不評なアクアの内装(主にプラスチックが安っぽいという意見)と、比べると、好みはもちろんあるでしょうが、デミオに軍配が上がります。
革だから良い!のではなく、あくまでデザインとして見たとき、材料が入れ替わったとしても、私はデミオのデザインを選ぶでしょう。
エクステリアはもうそれこそ好みが分かれるでしょうね。私は精悍な目にやられました。
燃費(燃料費)
カタログ燃費は、30km/L(6MT)と、昨今のハイブリッドカーと比べれば良い数値には映りません。しかし、軽油で走るクリーンディーゼルは、燃料費として見れば、アクアに迫る性能でしょう。
前述の走行性能を備えて、且つこの燃費は超優秀と言わざるを得ません。
こうして見ると、コンパクトカーを買うのなら、デミオ(ディーゼル)を選ばない理由がありません。このクラスで敵はいないといってもいいでしょう。
会社としての販売規模が、圧倒的に劣っているのが残念ですが・・・。
そうそう、申し遅れました。わたくし、大のマツダファンです。マツダは車作りに真面目です。一介の機械エンジニアとして、見習うべきところがたくさんあります。
このお勧めする理由も、上記を踏まえて読んでいただければ幸いです。
結局乗り換えなかったのはなぜ?
散々ベタ褒めしてきたデミオですが、結局乗り換えませんでした。主に理由は3つ。
ディーラーの担当セールスマンの押しが弱い
これはRX-8を購入したときにも感じたことです。セールスマンって、ウザくならない程度に、自社の製品をもっとプッシュしてきてもいいと思うんですよね。
RX-8は本当に良い車で、どんどん試乗させるべきだと思いましたが、本当に押しが弱い。「好きなヤツは何も言わなくても買うんだろ?」的な考えなのか・・・。まあその術中?にハマって購入したわけですが(笑)
今回は、整備でディーラーに行った際にも、「ロータリーから乗り換えるような車じゃないので・・・」と相手にしてもらえませんでした。
私の経済力を見抜いていたのでしょうか・・・? 確かに即金でポン!とは買えませんが。
エンジンを乗せ換えたので
最大の分かれ道だった先代エンジンの寿命。そのとき、考える時間は僅かでした。デミオに買い替えるのか、エンジンを乗せ換えるのか?
結局、目先の金銭的理由から、乗せ換えを選択したわけですが、それまでに試乗を十分にしていたら、もしかしたら乗り換えていたかもしれません。
優等生すぎた
私にとって新型デミオは、簡単に言えば優等生すぎました。RX-8は確かに良い車で、何の不満もありませんが、一般的に見て、とても手の掛かる車で、お世辞にも「良い車」とは言えないでしょう。
デミオはそれと比べれば、全く手が掛からず、且つ高性能。普通の神経をしていたら、10人が10人、乗り換えを決意してもおかしくありません。
もし仮に、「ロータリーエンジン」のような(ある意味、欠点とも言える)ユニークな個性がデミオにあれば、それが背中を押していたでしょう。
SKYACTIV-Dと呼ばれるクリーンディーゼルエンジンも、個性としては光るものがありますが、これもやはり優等生すぎましたね。
欠点すら魅力に変える、ロータリーエンジンのような突き抜けた個性は、残念ながら新型デミオにはありません。パンチ力が足りませんでした。
あとがき
新型デミオは非常に良い車です。でも諸々の理由から、今回は乗り換えには至りませんでした。
来年はいよいよロータリーエンジン50周年の年。どういった動きがあるのか、興味津々です。
それでは、良きカーライフを。