車は人間のようにしゃべることができません。だけど、ほかの車とコミュニケーションをとることは、安全に気持ちよく運転するために必要なことです。
そのために、車にある様々な灯火類や動き、または身振り手振りを駆使して、相手に自分の気持ちを伝えなくてはいけません。
今日は車の運転でよく使われる「合図」の意味を知って、それを使って上手に譲って気持ちよく譲られる方法をご紹介します。
合図の種類と意味するモノ
まずは車の運転でよく使われる合図と、その意味をご紹介します。 地域によっても多少違いはあるかもしれませんが・・・。
パッシングの意味
パッシングとはヘッドライトを何回か「パッパッ」と点滅させる行為です。 ウインカーレバーを手前に引くとヘッドライト(遠目)が点灯し、離すと消えます。
1~2回、レバーをチョンチョン・・・と引くのが一般的でしょうか。
パッシングの意味は様々ですが、その状況によって意味するところが180度変わってきます。
煽り
あまり褒められた使い方ではありませんが、車間を詰め左右に車体を振りながらパッシングされれば、ほぼ100%煽りを受けていると認識していいでしょう。
私が朝の通勤中に、対向車線でパッシングによる煽り運転をしている車を見たことがあります。
なんとその車(煽っている車)は初心者マークを付けている初心者でした(笑)
前の車の真後ろにピッタリとくっついてパッシングしていましたが、あれでは効果はないですね・・・明るい時間にピッタリくっついて真後ろでパッシングしても、前の車からは見えません。
やるなら右側に車体をはみ出させてやらないと・・・いや、やっちゃいけないんですけど。許されない行為なのに、「相手に伝わらないパッシング」を延々と繰り返す初心者に、なぜか微笑ましい感情が芽生えてしまいました(笑)
彼が他人を巻き込むような事故を起こさないことを祈るばかりです。
道を譲る意思を伝える
パッシングはこの使い方が多いでしょうか。 右折待ちをしているときに、対向車から「パッパッ・・」とパッシングをされることがあります。
大抵はスピードを緩めたり停止して道を譲る意思を伝えてくれています。
何かを伝える
最近ではあまり見かけませんが、田舎でよくあるパッシングの使い方で、対向車に「何か」を伝えるためにパッシングする人もいます。
前を走る車がいなくても、対向車とすれ違うたびにパッシングしてきます。
ほとんどの場合、「この先で取り締まりやってるよ!」というメッセージとして使われています。
また、夜間ではライトが遠目(ハイビーム)になっているのを忘れていて、「まぶしいよ!」というメッセージとしても使われます。
この意味合いで言えば、煽りも「早くしろ!」「道を譲れ!」というメッセージとして捉えることができますが、あまり気持ちの良いものではありませんね。
お礼として
道を譲ってくれた対向車に対して、お礼の意味を込めて「パッ」と一回、パッシングする方もいます。
個人的にはあまり好きじゃないんですけどね・・・。譲ってくれた車の前を通り過ぎるなら、手を挙げるなり会釈するなりで伝わると思うんです。
パッシングだとどこか味気ないというか・・・気にしすぎでしょうか。
ハザードランプの意味
ハザードランプを点滅させる場面は割と多いかと思います。
高速道路で後続に渋滞を知らせたり、ちょっとした路上駐車の際に使用します。また、本来の使い方である、事故・故障などのトラブルの際にも使います。
他の使い方としては、次に挙げるものがあるでしょうか。
お礼
譲ってくれた車と進行方向が同じ場合には、相手には自分の車が見えていますので、後方にもわかるハザードランプが有効です。
カチッカチッ・・と2~3回点滅させるのが一般的かと思います。 1回だけだと味気ないというか、感謝の気持ちが伝わりにくいと感じます。
道を譲る
片側1車線の道路などで、自分の車が遅い場合、見通しの良い直線路で対向車がいないことを確認してから、ハザードランプを点滅させて、路肩に寄って先に行ってもらうときに使ったりします。
左ウインカーでも代用可能です。
方向指示器(ウインカー)の意味
ウインカーは車の動きを周囲に伝えるために、なくてはならない大切なものです。自分の行きたい方向を示し、周囲に知らせる役割があります。
右左折時・路上駐車時・車線変更時に、行動に移る3秒前、あるいは30m手前で点滅させます。他の使い方・意味合いは下記の通りです。
急いでいることを伝える
高速道路の追い越し車線を、右ウインカーを点滅させながら走っている車を見たことがあるでしょうか?
意味合いとしては「急いでいるので道を譲ってほしい」ということですが、一般車両においてはあまり褒められた使い方ではありません。
ほとんどの場合、煽りとして受け取られることでしょう。
ウインカーの注意点
方向指示器(ウインカー)は、周囲に自分の車の動きを伝えるものです。点滅しますので、周囲に認知させるには3秒という時間が必要なんです。
よく、ハンドルをきるのと同時にウインカーを出す方がいますが、あれでは周りにしっかり認知させることはできません。
また、ウインカーすら出さないで車線変更したり右左折する車もいますが、指先ひとつ動かすのも面倒なんでしょうか? 指先だけで防げた事故だって数多くあると思うんですけどね・・・。
ヘッドライト・ブレーキランプの意味
夜間点灯させるヘッドライトやブレーキを踏むと点灯するブレーキランプも、合図として使われることがあります。
譲る意思を伝える
夜間に道を譲る場合、パッシングのほかにヘッドライトを消灯させて譲る方法もあります。
夜間はただでさえ対向車のヘッドライトはまぶしいものです。パッシングでも意思は伝わるでしょうけど、気付かれにくいかもしれませんので、消灯させて譲る意思を伝えることもあります。
何らかのメッセージを伝える
ブレーキランプは本来、後続に減速することを伝える機能です。それ以外にも変則的な点灯のさせかたで、後続に何かしらメッセージを伝えることもできます。
ブレーキランプ5回で「ア・イ・シ・テ・ル」のサインということはないかと思いますが、車間が狭いだとか、ハイビームでまぶしいだとか、思い当たることがあるかもしれません。
でもほかの合図に比べて、伝わりにくいことも確かです。あまり頻繁にやると、ただブレーキが頻繁な「へたくそ」と思われてしまうかもしれません。
クラクション
クラクション(警笛)も車同士のコミュニケーションとしてよく使われます。 しかし、厳密にいうとむやみにクラクションを鳴らすのは違反になります。
どうもありがとう! と「プップッ!」と鳴らすのも、本当は間違った使い方なんですね。
それに、クラクションはどこで鳴らされているのか判別がしにくいです。「誰が」「誰に」向かって鳴らしているのかわかりにくいので、なるべくなら鳴らさないほうが無難です。
上手に譲り・譲られる方法
さて、車でよく使われる合図をご紹介してきましたが、ここからは上手に譲る方法、譲られる方法です。
周囲の状況を考えずにただ譲りまくっていては、かえって迷惑になることもあるんです。
上手な譲り方
慣れないうちは難しいかもしれませんが、一番重要なのは周囲の交通状況をしっかり把握することです。
対向車が信号のない交差点で右折待ちしていたとしましょう。
あなたが譲る意思があったとして、スピードを緩め(停止して)、パッシングで合図を送り譲るわけですが、この時、あなたの後ろに後続車が一台もいなかったらどうでしょう?
右折待ちをしていた相手は、あなたが通り過ぎたあと、難なく右折できるはずです。譲ってもらったことは嬉しいことですが、あなたがさっさと通過したとしても結果は大して変わりません。
それに、あなたが停止したことで、死角ができます。停止しているあなたの車の脇を二輪車がすり抜けていくことも十分考えられます。
どうするのが正解かは人それぞれですが、こういった場合は無理して譲らずにそのまま通り過ぎたほうが双方のためであったりもします。
常に周囲の状況を把握して、後続車はいるか? 二輪車はいるか? 対向車線は詰まっているか? 総合的に判断することが大切です。
上手な譲られ方
なにはともあれ、譲ってもらいたいという意思表示をしなければいけません。車内で「譲ってくれよ~」とぼやいても、相手の車にはあなたの気持ちは伝わらないんです。
まずは早めの合図。これに尽きます。 合図も出さずにジリジリと車線変更を開始しても、「なんだコイツは!」と思われ、逆効果になってしまいます。
右折待ちでもセンターラインをはみ出すような強引なやりかたは危険ですし嫌がられます。
右折待ちのときに後続車がいなければ、なかなか曲がれなくても他に迷惑はかかりませんので、焦らずのんびり待つくらいの気持ちでいましょう。
後続車がいるのなら、対向車も空気を読んですぐに譲ってくれることが多いです。
サンキュー事故に注意
せっかく譲ってもらったからと、ろくに安全確認もせずに急いで曲がってしまうことがありますが、脇をすり抜けてくる二輪車と出合い頭に衝突する可能性もあります。
また、譲る側もしっかり周囲を確認することが重要です。
まとめ
パトカーのように、電光掲示板がついていれば別ですが、車同士で会話ができない以上、合図をうまくつかってコミュニケーションをとるほかありません。
車でよく使われる合図をしっかり覚えて、適切に使っていきましょう。
そうすればお互い気持ちよく譲り・譲られができ、交通渋滞の緩和にもつながるかもしれません。
それでは、良きカーライフを。