車間を空ける理由、事故防止以外にいくつ思いつきますか?

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安全運転のためによく言われるのが、車間距離を確保しましょう、ということ。車は急に止れないと言われるように、事故防止の観点から、車間距離は非常に重要です。しかし、理由はそれだけではありません。あなたはいくつ思いつきますか?

適切な車間距離とは

まず知っておいていただきたいのは、適切な車間距離とはいったいどのくらいか?ということです。距離というからには、単位はメートルで表しがちですが、走行中の車は常に速度は変化しています。速度の単位は「km/h(キロメーター毎時)」が一般的ですよね。1時間に何キロ進むのかを表しています。

車間距離をイメージするには単位が大きすぎるので、「m/s(メーター毎秒)」という単位に換算するとイメージがしやすくなるかと思います。これは、1秒間に何メートル進むのかを表しています。

例えば、時速50km/hで走る車の場合、50kmをメートルで表すと1km=1,000mなので、50,000m。1時間は3600秒なので、50,000÷3600=13.888・・m/sとなります。1秒間におよそ14mも進むんですね。

時速100km/hなら27.777・・m/s このように、車間「距離」と言っておきながら、速度によって進む距離は違いますから、距離ではなく「時間」でイメージしたほうがわかりやすいです。

適切な車間は2~3秒

別の記事でも触れていますが、一般的に言われている、適切な車間距離は「2秒」です。

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前走車の更に前の状況や車間によっては、もう1秒程度とるといいでしょう。高速道路でも長めにとっておくと安心です。

計測は、前の車が道路脇の目標物を通過した時、「ゼロ」、「1、2」と数え終わる時に、自分の車が目標物に達していれば、車間は2秒です。時速50km/hで走行中の場合は、およそ28mということになります。

安全面からの理由

多くの方は車間を空ける理由として、安全面、事故防止を挙げることでしょう。車間を空けることによって、前の車が急停止しても追突せずに済むかもしれません。

速度と停止距離

教習所で速度と停止距離の関係を教わったかと思います。時速○○のとき、停止距離は○○メートル・・・というものです。実は複雑な計算式があるのですが、ここでは割愛します。

停止距離とは、「空走距離+制動距離」のことを言います。空走距離とは、運転者が危険を認知してブレーキを踏みこむまでの距離、制動距離とはブレーキが効き始めてから停止するまでの距離のことです。

運転者が危険を感じてから実際にブレーキを踏むまで、0.7秒~1秒かかると言われています。制動距離は車種によっても、路面の状態やタイヤの状態によっても差があります。時速50km/hで走行している車の停止距離の目安は、

空走距離14m+制動距離18m=32m

といわれています。ここで「アレ?」とお気付きの方、スルドイです。時速50km/hのとき、車間2秒空けている場合、前の車との距離は「約28m」対して、緊急時の停止距離は「32m」

数字だけ見ると止りきれませんよね。実際には、前の車の速度がいきなりゼロになることは考えにくく、しっかり周囲の状況がわかっていれば、十分止れるのです。しかし、前の車が余所見、脇見をしていて、渋滞の車列に突っ込んだ場合、止りきれずに玉突き事故を起こしてしまう可能性もあります。

車間を空けることで、視野が広がり、周囲の状況を把握しやすくなるのも、車間を空ける理由の一つです。

環境面からの理由

安全面の理由と比べると、こちらはあまりイメージできないでしょうか。適切な車間は2秒と言いましたが、前の車とピッタリ付かず離れず2秒をキープとなると、ペースは前の車に依存します。前の車がギクシャクした動きだと、こちらまでギクシャクしてしまいがちです。頻繁なブレーキランプの点灯は、後方での渋滞に繋がるかもしれません。

前走車やその前方の状況、後方の状況などをしっかり把握し、車間「2秒」を存分に使って、加減速の少ない、スムーズな運転をするために車間をとるのです。こうすることで、無駄なブレーキを踏むことがなくなり、結果的に周囲の流れをスムーズにでき、渋滞の緩和につながります。

他車とのトラブル回避

車間が詰まると、こちらはそんなつもりはなくても、煽られているように誤解されがちです。適切な車間をとることで、余計なトラブルを未然に防ぐことができます。どんな道でも2秒空いていれば、勘違いされることはないでしょう。

逆に、車間は空きすぎてもトラブルに巻き込まれることがあります。安全面から言えば、車間が広ければ広いほど、自分は安全でしょう。ですが、交通の流れから逸脱するような速度、車間は、後続車をイラつかせ、煽りや無理な追い越し・追い抜きを誘発することになりかねません。

たとえ、走行速度が同じでも、車列が等間隔で適切な車間距離で流れている場合と、前方が広く空いている場合とでは、後続車の気持ちは異なります。前が空いているのに、この速度に制限「されている」という感覚に陥ってしまいます。等間隔で適切な車間を保った車列なら、皆同じペースで走っているので、随分と感じ方が異なるでしょう。

また、経験上、前方の車が適切な車間をキープしていると、後続車も自然と適切な車間になっていきます。理由はよくわかりませんが、前走車よりも自車のほうが車間が狭いと、「煽っていると思われてしまう」という思考が働くのでしょうか。

適切な車間は無駄なブレーキを減らせる効果があることは、前述しました。それにより、他車の心理にも影響を与えます。ブレーキランプが頻繁に点灯する車に続いて走行するのは、かなりのストレスになります。そのストレスを和らげる効果も期待できるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 以外にもまだまだ車間を空ける理由はたくさんあるでしょう。車間は空ければ空けるほど良いというわけではなく、適切な車間というものがあります。前走車から2~3秒、これが適切な車間です。

今まで意識していなかった方は、一度ご自分の車間を把握して、適切な車間を意識してみてください。想像以上に周囲がスムーズに流れることを実感できるかもしれません。

それでは、良きカーライフを。