公道では不要なドライビングテクニック5選

鈴鹿サーキット コラム
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鈴鹿サーキット

車は安全で便利に使われるもの・・・という側面とは別に、速さを競うという楽しみもあります。サーキットやジムカーナといった、閉ざされたコースの中で、速さを競うために使われるドライビングテクニック。

一般公道では全く不要で無意味な技術もたくさんあります。中には危険な行為となってしまうものも。ここでは、そんなドライビングテクニックをご紹介します。

アウト・イン・アウト

もしかしたら、次に挙げる「スローイン・ファストアウト」と並んで、教習所でも単語は聞いたことがあるかもしれません。

この技術(と呼べるほどではないですが)は、カーブをより速く抜けるための技術です。クリッピングポイントと呼ばれる、カーブの最内を、できるだけ大きな舵角で結ぶラインが、カーブ手前の外側(アウト)→クリッピングポイント(イン)→カーブを抜けた先(アウト)となることから、こう呼ばれています。

くどいようですが、これはカーブでのスピード低下を最小限に抑えるための技術です。一般公道に於いては、全く不要と言ってよいでしょう。

何故なら、日本の道路は直線と交差点が殆どを占めているからです。山道や峠道でも、車線は決められていて、自由度はありません。それに、公道は安全に走行するのが第一で、速さを競う場所ではないのです。

よく交差点などで、曲がる方向とは反対側に車体を振って曲がっていく車を目にします。アウト・イン・アウトのつもりなのか、フェイントモーションのつもりなのかわかりませんが、そういう車に限って、イン(クリッピングポイント)にも付けず、大きく対向車線にはみ出していきます。

内側を空けると、二輪車などを巻き込む恐れもあり、交差点では歩行者優先なので、速く曲がる必要もありません。もしかして、内輪差で後輪を引っ掛けてしまうのを恐れているのでしょうか? それほどの鋭角で狭い道は、殆どないと思うのですが・・・。

また、右折時でも、せっかく右側に寄せた車体を、ジリジリと左側に振りなおす車も気になります。脇を通る後続車と接触してしまう恐れがあるので、危険です。

スローイン・ファストアウト

これも教習所で教わる技術の一つでしょう。カーブはゆっくり進入して素早く抜ける。ごく基本的なことですが、特に速さを競っているわけではないので、速く抜ける必要はありません。

交差点などでは、抜けた先で急に飛び出してくる歩行者や、渋滞の車列、右左折しようとして停車している車などがいます。カーブを抜けたからといって、すぐにアクセルを踏み込むという場面は、そんなに多くありません。

スリップストリーム

車の走行抵抗は、空気抵抗によるものも大きいです。空気抵抗は速度の二乗に比例しますから、車速が速ければ速いほど、抵抗は増します。

最近のエコブームで、燃費を気にしているドライバーも多いかと思いますが、中には空気抵抗を減らし、燃費を稼ぐために、大型トラックの後ろにピッタリとついて走行する人もいるようです。

モータースポーツでは当たり前のように使われているスリップストリームですが、これを公道でやろうとすると、かなりの危険を伴います。

高速道路ではない一般道では、速度もそれほど出ていないので、あまり効果がありませんし、大型車両の後ろは、前方の状況も全くわかりません。

高速道路でも、スリップストリームの効果を得られる車間距離は極めて短く、1車身も無い程度です。これよりも離れると、前走車によって乱された気流の影響を受けますし、近ければ近いほど、前述の理由により大変危険です。

大型車両には、排気ブレーキも付いていますし、一般車両よりも強力なブレーキが備わっています。前の状況が全くわからない状態で、大型車両よりも早く止まるのは至難の業です。

ヒール・アンド・トゥ

ブレーキを踏みながら、かかとでアクセルを踏み、シフトダウン時の回転合わせをする、MT(マニュアル車)特有の技術です。

フットブレーキとエンジンブレーキを有効に効かせることができたり、再加速時にも適切なギヤで加速するために使います。

ですが、公道でこれを使う場面を想像できません。フットブレーキだけでは足りない制動力を、エンジンブレーキで補わなくてはいけないような急制動もしませんし、そこから低いギヤで再加速するシーンなんてないと思います。

小細工をして制動距離が延びてしまっては本末転倒です。

左足ブレーキ

読んで字の如く、左足でブレーキ操作をすることです。これは主にFF車(フロントエンジン・フロントドライブ)がコーナーでアンダーステアを消すために用いたりします。

3ペダル式のMT車が長らく主流だったため、教習所でもブレーキは右足と教わるはずです。そうした背景から、左足での操作はクラッチと踏み式のパーキングブレーキだけになりました。

どちらも繊細なタッチを必要とせず、踏むときはガッツリと踏むので、繊細はタッチが必要なブレーキ操作は、(慣れの問題ですが)できなくなってしまいました。

2ペダルのAT車が主流になりつつある現在、左足ブレーキは、アクセル・ブレーキ踏み間違い事故の防止に良さそうに思われますが、私は原因はもっと別のところにあると思っていますので、やはり不要なドライビングテクニックだと思います。

それに、左足は運転姿勢を維持するために必要です。しっかり身体がホールドされない、一般車両では、左足ブレーキを使うことで、運転姿勢の維持が難しく、姿勢が乱れがちになってしまいます。

まとめ

代表的なドライビングテクニックを見てきましたが、一般公道ではほとんど不要なものばかりです。生半可な技術を公道で使うと、かえって危険な目に遭うかもしれません。

とはいえ、練習してしっかり身についた技術は、万が一の時に役立つのも確かです。しかるべき場所で練習して、車を意のままに操れるようになることも、ドライバーの楽しみの一つです。

興味のある方はサーキットやジムカーナ場で行われる、ドライビングレッスンなどに参加されてみてはいかがでしょうか。

それでは、良きカーライフを。