かなり昔の話になりますが、大学時代、高速道路でタイヤをバーストさせたことがあります。幸い怪我人もなく、今では笑い話ですが、メンテナンスの重要性を思い知らされた一件です。
スタンディングウェーブ現象
なにやら聞きなれない言葉ですね。wikipediaには次のように記載されています。
スタンディングウェーブ現象(スタンディングウェーブげんしょう)とは、空気圧が低いタイヤを使用して高速走行を行った場合、タイヤの接地面より後方が波状に変形する事を言う。タイヤの接地部分の歪みは波となって前後に伝わるが、波の伝わる速度よりタイヤの回転が速いと、伝播した波が重なり合って大きな波となりタイヤを変形させる。
単純に表現すると、接地してへこんだ形が元に戻る前にタイヤが一周してしまい、地面がタイヤをへこまそうとする力とタイヤが元の形に戻ろうとする力のバランスが崩れてしまう状態。
引用:wikipedia
タイヤの接地している部分は、車の重量により凹んでいます。タイヤが回転すれば、接地している部分も移動するので、重量という負荷が抜け、元の形に戻ろうとしますが、タイヤ回転が速いと元に戻る前に一周してきてしまいます。
ところで、波というものは、波の高いところ同士が重なるとどうなるか知っていますか? お風呂の湯船で両側から手のひらで波を作って衝突させてみるとわかりますが、波の頂点同士が重なると、更に高い波になります。
空気圧が適正かやや高めのタイヤですと、元に戻ろうとする力が強いために、すぐに元通りになりますが、空気圧が低いタイヤの場合、すぐには元通りにならないのです。パンパンに張った風船としぼみかけた風船をイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
空気圧の低いタイヤで高速走行すると、上記の状態となり、タイヤが異常変形し、或いは異常過熱して、バーストに至ります。
深夜の高速道路で「ソレ」は起きた
ここからは少し私の体験談となりますが、ご了承ください。
大学時代のある夜、物凄くイヤなことがあり、気晴らしに友人を誘い、深夜のドライブに行きました。気晴らし=ストレス発散も(決して褒められない行為ですが)車の用途の一つでした。
幕張辺りから東関東自動車道に乗り、ひたすら東を目指しました。何故かは忘れましたが、きっと犬吠崎で「海のばかやろう!」とでも叫びたかったのだと思います。
酒々井PAを過ぎた辺りで、タイヤから何か違和感を感じ始めました。小さな振動が次第に大きくなり、不安を感じてスピードを緩め、路肩に寄せようとした次の瞬間、右前のタイヤがホイールからキレイに切り取られたように千切れ、輪っかになって前方に飛んでいきました。
幸いスピンすることなく路肩に停車し、ハザードランプを点け、三角停止板を設置しました。後続車もなく、辺りは真っ暗闇。追い越し車線に吹っ飛んだタイヤを回収し、JAFを呼びガードレールの外でひたすら待ちました。友人には申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
JAFが到着し、牽引してもらうことになったのですが、フロントバンパーの地上高が低すぎて、バンパーを外す必要があり、JAFの人にもご迷惑をお掛けしました。インターを降り、近くのガソリンスタンドでタイヤを交換してもらい、帰宅したのは翌日の昼でした。
どうすればバーストを防げたのか?
スタンディングウェーブ現象の原因は、タイヤの空気圧不足と車のスピードです。当時の私は、タイヤの空気圧など全く気にしていませんでした。タイヤの空気はタイヤに穴が開いてなくても、少しずつ抜けていきます。定期的に空気圧をチェックし、適正な圧力にしておく必要があります。
また、低扁平タイヤ(横から見て、タイヤの部分が薄いタイヤ)は、空気が抜けても外観から判りにくい(凹んでいるように見えない)ので特に注意しましょう。
適正な空気圧とは?
車の運転席側のドアを開けると、ドアのロック辺りか、ボディ側に表示されているかと思います。
220(2.2)
こんな感じです。前の3桁の数字の単位はkPa(キロパスカル)、カッコ内の数字の単位はber(バール)または、kgf/cm2(キログラム重パー平方センチメートル)です。ガソリンスタンドなどで、空気圧チェックをしてもらう際、「2.2キロで・・」と言えば大体通じます。
メンテナンスの周期は?
お住まいの地域によって夏タイヤ・冬タイヤの期間が異なりますが、タイヤを夏→冬、冬→夏、と変えたときにチェックすると良いでしょう。タイヤを保管しているだけで、空気は自然に抜けていくからです。
夏タイヤの期間が長い、温暖な地域では、期間の中ごろにもチェックしたほうがいいかもしれません。また、高速道路を長距離移動する前にもガソリンを給油するついでにチェックしましょう。
副次的な原因
私は空気圧チェックというメンテナンスを怠って、タイヤをバーストさせてしまったわけですが、他にも原因がありました。
私は憂さ晴らしで車を使用してしまいました。その時の精神状態は、怒り・憤り・悲しみ・・・といった感情が入り混じっていました。付き合わされた友人も堪ったものではないですよね。
こういった精神状態では車を運転するものではありません。注意力は散漫になり、周囲に攻撃的な運転となってしまうこともあります。この時はそういったことが原因の事故ではなかったのですが、車から私への戒めのメッセージとして、バーストが起こったのではないか?と今では思えます。
まとめ
スタンディングウェーブ現象によるタイヤのバーストは、高速道路で起きやすいため、重大な事故に発展する可能性があります。まめに空気圧をチェックし、適正な空気圧となるようにメンテナンスすることが大事です。
それでは、良きカーライフを。