皆さん、先急ぎ運転ってご存知ですか? スピード超過や信号無視、一時停止しない、抜け道を利用・・・など、とにかく先を急ぐ運転スタイルのことです。
危険を冒して先急ぎしたとしても、短縮できる時間はほんのわずかです。運転中、イライラ・ムカムカしたとき、心を落ち着かせる言葉をご紹介します。
「どんなに急いでも5分も変わらん」
日頃、よく目にする光景で、信号が黄色や赤に変わったにも関わらず、交差点に進入してくる車がいます。
渋滞に巻き込まれていたり、頻繁に赤信号で停止させられると、少しでも先に進みたいという気持ちになり、黄色でも当たり前のように進行してしまいがちです。
渋滞を逃れようと、細い抜け道を猛スピードで駆け抜けていく車もあります。
ですが、日本の、特に都市部の道路事情は、そういった運転スタイルに全くマッチしません。
百害あって一利なし。全くの無意味と言っても過言ではないのです。
先急ぎは人間の本能
古来から、人(というか生物)は、生き残るために食料を他に先んじて得ようとする本能があるそうです。
他人よりも先に急がなければ、食料を得ることができず、生き残ることができません。
その本能が、「車」というスピードが出せる道具を扱う際に表れやすいという説もあります。
先急ぎ運転の具体例
約束の時間に遅れそう。前の車が遅くてイライラ。など、心に余裕がないと、無意識にやってしまう先急ぎ運転。具体的にはどういった運転なんでしょうか?
信号無視
法律的な信号の色の意味を正しく言える方、意外と少ないです。「青は進め。黄色は注意。赤は止まれ」
大半の人はこんな認識でしょう。自動車に限って簡単に言えば、
- 青信号:直進、右左折することができる。
- 黄信号:停止位置から先に進んではならない。ただし停止位置に安全に停止できないときは、そのまま進むことができる。
- 赤信号:停止位置を越えて進んではならない。
基本的に、黄色は赤と同じ意味です。「ただし」以下の文があるので、ドライバー個々の判断で、交差点に駆け込んでしまうことが多いのでしょう。
この信号無視、前走車がいなければ、それほど危険ではありません。(黄色の場合ですよ?)
歩行者用の信号機が青点滅しはじめ、「あ、行けるかな?止まれるかな?」という場面も少なくないでしょう。
前走車がいなければ、黄色になりそうなときにアクセルを踏み込んでも、追突することはありませんが、先急ぎ運転の場合、前に車がいても気持ちはその信号を抜けたい・・・と思っています。
前の車が黄信号で止まれると判断し、停止するのに対し、後続車は通過しようとして加速します。
「車は急に止まれない」という言葉がありますが、これは単にブレーキ性能のことを言っているのではなく、ドライバーの心理状態のことも考えられています。
同じ速度でも、止まろうと考えている人と、加速しようとしている人、次の瞬間にそれぞれのアクションを起こしたらどうなるでしょう?容易に想像できますよね。
多少強引に、目前の信号を(無視して)通過できたとしても、次の信号は赤かもしれません。出発地から目的地まで、一回も信号で停止することなく走行できることは皆無といっていいでしょう。
関連記事:ドライバーは見た!黄色や赤信号で突っ込んでくる運転者の素顔
スピード超過・煽り運転
一般的な交通の流れは、制限速度以下ということはほとんどないと思いますが、流れから逸脱した速度で走行したり、遅い車を煽ったりといったことも、先急ぎ運転の一つです。
時速50km/hで走行する車と、時速100km/hで走行する車。信号機も他車もいない状態で、100km先の目的地に到着する時間は、前者は2時間、後者は1時間。
こう考えると、大きな差に感じるかもしれません。しかし目的地が10km先だったらどうでしょう? その差は6分しか変わりません。
実際には他車も多く通行していますし、信号機だってたくさんあります。どんなに短区間でスピードを出そうとも、平均時速は概ね一定になります。
煽り運転もしかり。運よく譲ってもらったとしても、数台前に出られるだけです。ものの数秒です。
危険と不快感をまき散らしてまで短縮できる時間は、秒単位です。
抜け道利用
幹線道路の渋滞にさしかかると、細い脇道から渋滞区間の先に出ようとする車をよく見かけます。これも先急ぎ運転の一種です。
先日、私の前を走行していた車が、渋滞区間にさしかかりました。その車は細い抜け道へと姿を消しました。
その車を再び目撃したのは数km先でした。脇道から渋滞している幹線道路へと合流してきましたが、それは私の車の3台前でした。
細い道を危険を冒して通行し、得られたのは2台分追い越しただけという結果でした。
渋滞は走行している道だけで発生しているのではありません。渋滞が発生しているということは、その周辺一帯が混みあっているということです。
一見して渋滞を避けられそうな道でも、多くの場合はその先で詰まっていたりします。事故のリスクを背負って得られるメリットは皆無と言っていいでしょう。
まとめ
冒頭の見出しに書いたように、「どんなに急いでも5分も変わらん」これが結論です。残念ながらソースは見つけられませんでしたが、とある自動車学校が実証実験をした結果があります。
片や法令遵守。片や先急ぎ運転。という2チームで複数回、片道11kmの市街地を走行し、所要時間を計測するというものでした。平均の所要時間は40分ほどです。
結果は、先急ぎ運転チームが、平均22秒早くゴールという結果でした。
自動車学校というからには、それほど大胆な先急ぎ運転はさせていないかと思いますが、たった22秒差です。
交通事故のリスク、交通違反のリスクなど、背負うリスクに対して、得られる時間的メリットはたったこれだけなのです。
渋滞でイライラしたり、マナーの悪い先急ぎ運転を見かけてムカムカしたり、時間に追われて焦ったりしたら、心の中でこう言いましょう。
「どんなに(そんなに)急いでも5分も変わらん!」
交通状況が変わらなければ、出発を5分早くするだけで、確実に5分早く着きます。先を急いでも何の得にもなりませんので、時間に余裕とゆとりを持って、それでもイライラしたら、魔法の言葉を唱えましょう。
それでは、良きカーライフを。