地味だけど凄いかも!?マツダG-ベクタリングコントロールのココが凄い!

マツダデミオ コラム
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マツダデミオ

前回に引き続き、マツダの人馬一体アカデミーを受講してきた感想を書かせていただきます。※注)写真は新型デミオ。今回のお話には関係ありません。

前回:だからマツダはやめられない!人馬一体アカデミー受講記

今回は新型アクセラから搭載された新技術、G-ベクタリングコントロール(G-Vectoring Control 以下GVC)の体験走行についてです。

「GVC」ってなんぞや?

詳しい説明は、マツダのWebサイトに事細かく説明されているので割愛しますが、簡単にいうと、誰でも気持ちよく上手に運転できる技術・・・といったところでしょうか。

・・・ザックリすぎましたね。 車がカーブを曲がる際、まず減速して、旋回して、加速していく。この時に感じるG(加速度)の変化を適切に、スムーズにしてあげよう・・・というのが、GVCです。

減速G

ブレーキを踏んだり、アクセルから足を離すと、身体が前のめりになりますよね。定速で走行している状態から、進むためのエネルギーを減らしてあげると、減速します。このとき感じるのが減速G。

旋回G(横G)

カーブでハンドルを切ると、身体が外側に振れます。運動(動いている)している物体は、その方向に運動し続けます。(慣性の法則)

直進方向から、ハンドルを切って曲がる。直進方向へ進もうとしている力の方向と、曲がろうとしている力方向を合成した方向に、身体が振られます。

主に横方向なので横G、あるいは旋回Gと呼ばれます。

加速G

直進路でアクセルを踏み込むと、身体はシートに押し付けられるような感じになります。これが加速G。

 

どんなカーブでも、この3つのGの組み合わせで、車はカーブを曲がっていきます。

以前にも書きましたが、人間はこのGの繋ぎ目(変化点)に敏感で、変化点が多ければ多いほど、大きければ大きいほど、不快に感じます。

この、「減速→旋回→加速」というGの変化を、適切に継ぎ目なくするサポート的な役割。それがマツダのGVCです。

読んで字のごとく、「G(加速度)」の「Vectoring(方向)」を「Control(制御)」する技術ですね。

具体的には、車速とハンドルの切れ量から、瞬時にどういった走行シーンなのかを判別し、エンジンのトルク(車を前に進める力)を制御するというもの。

この制御を5ms(ミリ秒)という短い周期で繰り返しています。この制御で発生するGは、0.01Gとのこと。

ざっくり言えば、車重の1%の荷重移動を適切にやってくれると言えます。(1.5tの車なら、15kg) もちろん、人間の知覚では感じられない制御スピードと、荷重移動です。

体験走行(予感編)

講義のあと、実際に試乗して効果を体験してもらう、試乗会になりました。

実を言うと私、このGVCについて、ネットで言葉くらいしか見ていませんでした。Gをコントロールするとか云々・・・最近ありがちな「余計なモノ」でも付けたのかな?程度の考えでした。

まず、ドライビングポジションを調整する為、インストラクター(といってもディーラーの営業さんでしたが)の指示通りにシートとハンドルを調整します。

  1. シートを後ろいっぱいに、リクライニングを倒し気味に、ハンドルを最奥、最下段にする。
  2. 乗り込んでリクライニングを起こし、背中と腰を密着させる。
  3. 更にシートを起こし、下腹部が苦しくなったところから少し倒す。
  4. ブレーキとアクセルの間にかかとを置いて、ペダルに足が軽く乗るところまでシートを移動。
  5. 更にシートを前に移動して、足(アキレス腱やふくらはぎ)がキツくなるまで前に移動。
  6. キツくなったら、キツさが解消されるまで戻す。
  7. ボンネットの真ん中くらいが見える位置までシートを上昇させる。
  8. シートに肩をつけた状態で手のひらを合わせ、肩の高さまで腕を上げる。
  9. 合わせた手のひらの手首の位置までハンドルを出す。
  10. メーターパネルがハンドルの内側に入るように上下と角度を調整する。

・・・とまあ、めんどくさい手順を踏まされたわけですが、これも人馬一体をより良く体感してもらいたいという姿勢の表れではないでしょうか。

殆どの方は、このシートポジションは窮屈に感じるかもしれません。 ですが、一度走り始めると、不自然さはなく、非常に楽に運転できますのでお試しあれ!

この姿勢は、人間が無重力下で自然にとる姿勢だそうで、とことん人間について研究しているのだと驚かされました。

体験走行(実感編)

シートポジションも決まり、早速実走です。車種はマイナーチェンジ?されたアテンザワゴン XD L Package。念願のクリーンディーゼルです。 2WD(FF)か4WDかは特に説明ありませんでした。

動き出し直後、若干ハンドルが重い感じですが、駆動力がきていないうちはこんなものでしょう。すぐ慣れます。

高速道路のレーンチェンジ

まずはすぐに高速道路(自動車専用道路)に乗りました。80km/h程度から走行帯を移動します。違和感なくスムーズにレーンチェンジ。

タコメーターは1,500rpm辺り。アクセルの踏み具合にリニアに反応して気持ちよく加速します。

ランプを降りる際も、アクセルから足を離すだけでエンジンブレーキが効き、怖さを感じさせません。

これ、当たり前のことのようですが、最近の車は燃費を稼ぎ出すために、高いギアからなかなか落としてくれません。

結果、全くエンジンブレーキが効かず、MT車乗りにとっては、ニュートラルで空走するような感覚で非常に怖いのですが、この試乗車(に限らず最近のマツダ車)は、割としっかりエンジンブレーキが効いてくれて好印象です。

こういうところも、人馬一体の思想の現れなんでしょうか。

ちょっとした轍(わだち)

自分の運転が上手だと思ったことなんてありませんが、普段からあまり修正舵を切りません。なので、隣で熱心にGVCについて説明していただいているインストラクターには申し訳ないのですが、イマイチGVCを体感できないでいました。

確かに気持ち良く車の鼻先が回頭してくれるのですが、それもいつもと変わらない感触。

だったのですが、比較的轍の多い道路を走行中、違いに気づきました。普段とは明らかにハンドルの取られ方が違うのです。

でも気のせいかもしれない・・・そんな不思議な感覚・・・。

足周りが優秀なのかGVCの恩恵か? よくわからないまま、体験走行を終えました。

GVCのココが凄い!

残念ながら、GVCの凄いところをほとんど体感できないまま、体験走行を終え、帰路につきました。

帰り道、さっきまで乗っていたGVC搭載アテンザと、愛車RX-8の操縦性を頭と体で比較していましたが、はっきりとした違いはわからぬまま、家まで着いてしまいました。

・・・とここで、重要なことがアタマから抜けていたことに気づきました。

RX-8と同じ操縦性って実は凄いんじゃ?

気持ち良く曲がる

個人的な心情も多分に入ってはいますが、RX-8のサスペンションなどの足回りは、最高峰だと思っています。

その足回りと同じ操縦性を、あのデカい車体とストラット式サスペンション(リアはRX-8と同じマルチリンク)で実現してしまうとは・・・。

タイヤにより多く、効率的に仕事をさせる。

と講師の方がおっしゃってましたが、まさにソレです。 家に帰ってきてから気づきました。GVC凄い!

追加装備なしで実現

今のマツダの「フルスカイアクティブ車」なら、あとからGVC機能を付加できるそうです。

というのも、GVC自体はエンジンを制御するプログラムの一部。容量にして5kB(キロバイト)ほどというから驚きです。車速とハンドルの切れ量を演算して、結果を制御プログラムに渡すだけなのかな?

もっと車重の軽いデミオとかにも実装できると想像しただけで、GVC凄い!

車酔いしにくくなる?

コーナーリング中のGの変化を継ぎ目無くスムーズにするGVC。実際、体験走行は2名+インストラクターだったのですが、後部座席に座っていたときも、身体の横揺れは明らかに少なかったです。

いつもはウインドウ上にある、取っ手を握っている私ですが、そんなの握らなくても身体はしっかりシートにホールドされていました。

「カーブのとき、踏ん張らなくてもよくなった」

これが共通の感想でした。GVC凄い!

全ての人が気持ち良く走れる!

車の運転が上手な人ほど、このGVCは地味で気づきにくいものでしょう。でも、大部分の方にとっては、目からウロコ!と言えるくらい凄い変化をもたらすかもしれません。

運転が上手い・下手に関わらず、全ての人に恩恵をもたらすことができるのは、人間に気づかれずに、地味に、出しゃばらない・・・そんな技術だからでしょう。

まとめ

マツダの新しい挑戦「人馬一体」。その第一弾となるのが、地味だけど凄い?ヤツ、G-ベクタリングコントロールです。

このGVCも、マツダのSKYACTIV Technology(エンジン、シャシー、サスペンション、トランスミッション)すべてがあって初めて実現できた技術とのことです。

個々のSKYACTIVを、これからは繋げていき、更なる素晴らしい技術としていく・・・。もちろん、その中心にはドライバーがいる。

自動運転へと向かいつつある自動車業界において、このマツダの姿勢がどう評価されていくのか? 面白いことになってきました。

それでは、良きカーライフを。